A故に新しき物入來りてその視る力を阻むことなし、視る力|阻《はば》まれず忘るゝことあらずば何ぞまた憶ひ出づべきことあらむ
【新しき物】新しき物入來りて過去の事物の印象を亂す時、始めてこゝに忘るゝことあり思ひ起すの要生ず
【想の分れたる爲】per concetto diviso 印象心を離れ(新しき物のため)現に心に在らざるため、但し異説あり
八二―八四
【夢を見】眞理の基礎なき事物を想像し(天使に記憶ありといふ如き)
【罪も恥も】前者は夢を眞《まこと》と信ず、咎《とが》無智にあり、後者は自ら眞と信ぜずして虚榮の爲に眞なりといふ、咎惡意にあり
八五―八七
以下一二六行まで、ベアトリーチェは當時の説教者等を難ず
【同一の路】眞理に達するの路
八八―九〇
【曲げらる】曲解せらる
九一―九三
【血】殉教者の
九四―九六
【福音ものいはじ】説教者等福音を宣べ傳へずしてかゝる雜説にのみ空しく時を費すをいふ
九七―九九
福音の眞義に關係なき雜説の例を擧ぐ
【クリストの】キリスト磔殺の時地上遍く晦冥となりしを(マタイ、二七・四五等)日蝕の作用に歸せんとてこの説を爲す
【月退りて】當時月は太陽と反對の天
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