らひ》をもて宇宙を治むる神の攝理は 二八―三〇
かの新婦《はなよめ》――即ち大聲《おほごゑ》によばはりつゝ尊き血をもてこれと縁《えにし》を結べる者の新婦――をしてその愛《いつくし》む者の許《もと》に往《ゆ》くにあたり 三一―三三
心を安んじかつ彼にいよ/\忠實《まめやか》ならしめんとて、これがためにその左右の導者となるべき二人《ふたり》の君を定めたり 三四―三六
その一人《ひとり》は熱情全くセラフィーノのごとく、ひとりは知慧によりてケルビーノの光を地上に放てり 三七―三九
我その一人《ひとり》の事をいはむ、かれらの業《わざ》の目的《めあて》は一なるがゆゑに、いづれにてもひとりを讚《ほ》むるはふたりをほむることなればなり 四〇―四二
トゥピーノと、ウバルド尊者に選ばれし丘よりくだる水との間に、とある高山《たかやま》より、肥沃の坂の垂《た》るゝあり 四三―四五
(この山よりペルージアは、ポルタ・ソレにて暑さ寒さを受く、また坂の後方《うしろ》にはノチェーラとグアルドと重き軛《くびき》の爲に泣く) 四六―四八
この坂の中|嶮《けは》しさのいたく破るゝ處より、一の日輪世に出でたり――あたかもこれがをりふしガンジェより出るごとく 四九―五一
是故にこの處のことをいふ者、もし應《ふさ》はしくいはんと思はゞ、アーシェージといはずして(語《ことば》足らざれば)東方《オリエンテ》といふべし 五二―五四
昇りて久しからざるに、彼は早くもその大いなる徳をもて地に若干《そこばく》の勵みを覺えしむ 五五―五七
そは彼若き時、ひとりだに悦びの戸を開きて迎ふる者なき(死を迎へざるごとく)女の爲に父と爭ひ 五八―六〇
而して己が靈の法廷《しらす》に、父の前にて、これと縁《えにし》を結びし後、日毎《ひごと》に深くこれを愛したればなり 六一―六三
それかの女《をんな》は、最初《はじめ》の夫を失ひてより、千百年餘の間、蔑視《さげす》まれ疎《うと》んぜられて、彼の出るにいたるまで招かるゝことあらざりき 六四―六六
かの女が、アミクラーテと倶《とも》にありて、かの全世界を恐れしめたる者の聲にも驚かざりきといふ風聞《うはさ》さへこれに益なく 六七―六九
かの女が、心堅《かた》く膽大《きもふと》ければ、マリアを下に殘しつゝ、クリストとともに十字架に上《のぼ》りし事さへこれが益とならざりき 七〇―七二
されどわが物
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