めがみ》より取れり 一〇―一二
かの星の中に登れることを我は知らざりしかど、その中にありしことをば、わが淑女のいよ/\美しくなるを見て、かたく信じき 一三―一五
しかして火花焔のうちに見え、聲々のうちに判《わか》たるゝ(一動かず一|往來《ゆきき》するときは)ごとく 一六―一八
我はかの光の中に、他の多くの光、輪を成して※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《めぐ》るを見たり、但し早さに優劣《まさりおとり》あるはその永劫《えいごふ》の視力の如何によりてなるべし 一九―二一
見ゆる風や見えざる風の、冷やかなる雲よりくだる疾《はや》しとも、これらのいと聖なる光が 二二―二四
尊きセラフィーニの中にまづ始まりし舞を棄てつゝ我等に來るを見たらん人には、たゞ靜にて遲しと思はれむ 二五―二七
さて最も先に現はれし者のなかにオザンナ響きぬ、こはいと妙《たへ》なりければ、我は爾後《そののち》再び聞かんと願はざることたえてなかりき 二八―三〇
かくてその一われらにいよ/\近づき來り、單獨《たゞひとり》にていふ。われらみな汝の好む所に從ひ汝を悦ばしめんとす 三一―三三
われらは天上の君達と圓を一にし、※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]轉《めぐり》を一にし、渇《かわき》を一にしてまはる、汝|嘗《かつ》て世にて彼等にいひけらく 三四―三六
汝等|了知《さとり》をもて第三の天を動かす者よと、愛我等に滿つるが故に、汝の心に適《かな》はせんとて少時《しばらく》しづまるとも我等の悦び減《へ》ることあらじ。 三七―三九
われ目をうや/\しくわが淑女にそゝぎ、その思ひを定《さだ》かに知りてわが心を安んじゝ後 四〇―四二
再びこれをかの光――かく大いなることを約しゝ――にむかはせ、切《せつ》なる情を言葉にこめつゝ汝等は誰なりや告げよといへり 四三―四五
われ語れる時、新たなる喜び己が喜びに加はれるため、かの光が、その量と質とにおいて、優《まさ》りしことげにいかばかりぞや 四六―四八
さてかく變りて我に曰ふ。世はたゞしばし我を宿《やど》しき、もし時さらに長かりせば、來るべき多くの禍ひは避けられしものを 四九―五一
わが身のまはりに輝き出づるわが喜びは我を汝の目に見えざらしめ、我を隱してあたかも己が絹に卷かるゝ蟲の如くす 五二―五四
汝深く我を愛しき、是また宜《うべ》なり、我もし下界に長生《ながら
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