心を強うし 八八―九〇
曰ひけるは。あゝ熟して結べる唯一《たゞひとつ》の果實《このみ》よ、あゝ新婦《はなよめ》といふ新婦を女《むすめ》子婦《よめ》に有《も》つ昔の父よ 九一―九三
我いとうや/\しく汝に祈《ね》ぐ、請ふ語れ、わが願ひは汝の知るところなれば、汝の言《ことば》を疾《と》く聞かんため、我いはじ。 九四―九六
獸包まれて身を搖動《ゆりうごか》し、包む物またこれとともに動くがゆゑに、願ひを現はさゞるををえざることあり 九七―九九
かくの如く、第一の魂は、いかに悦びつゝわが望みに添はんとせしやを、その蔽物《おほひ》によりて我に示しき 一〇〇―一〇二
かくていふ。汝我に言現はさずとも、わが汝の願ひを知ること、およそ汝にいと明らかなることを汝の知るにもまさる 一〇三―一〇五
こは我これを眞《まこと》の鏡――この鏡萬物を己に映《うつ》せど、一物としてこれを己に映《うつ》すはなし――に照して見るによりてなり 一〇六―一〇八
汝の聞かんと欲するは、この淑女がかく長き階《きぎはし》をば汝に昇るをえしめし處なる高き園の中に神の我を置給ひしは幾年前《いくとせさき》なりしやといふ事 一〇九―一一一
これがいつまでわが目の樂なりしやといふ事、大いなる憤《いきどほり》の眞《まこと》の原因《もと》、またわが用ゐわが作れる言葉の事即ち是なり 一一二―一一四
さて我子よ、かの大いなる流刑《るけい》の原因《もと》は、木實《このみ》を味《あぢは》へるその事ならで、たゞ分を超《こ》えたることなり 一一五―一一七
我は汝の淑女がヴィルジリオを出立《いでた》ゝしめし處にありて、四千三百二年の間この集會《つどひ》を慕ひたり 一一八―一二〇
また地に住みし間に、我は日が九百三十回、その道にあたるすべての光に歸るを見たり 一二一―一二三
わが用ゐし言葉は、ネムブロットの族《やから》がかの成し終へ難き業《わざ》を試みしその時よりも久しき以前《さき》に悉く絶えにき 一二四―一二六
そは人の好む所天にともなひて改まるがゆゑに、理性より生じてしかして永遠《とこしへ》に續くべきもの未だ一つだにありしことなければなり 一二七―一二九
抑※[#二の字点、1−2−22]《そも/\》人の物言ふは自然の業《わざ》なり、されどかく言ひかくいふことは自然これを汝等に委《ゆだ》ね汝等の好むまゝに爲さしむ 一三〇―一三二
わが未だ地
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