うしろ》、我を導ける者のゐたるかなたに 四九―五一
岩に彫りたる他《ほか》の物語ありき、このゆゑに我はこれをわが目の前《さき》にあらしめんとてヴィルジリオを超えて近づきぬ 五二―五四
そこには同じ大理石の上に、かの聖なる匱《はこ》を曳きゐたる事と牛と刻《きざ》まれき(人この事によりて委《ゆだ》ねられざる職務《つとめ》を恐る) 五五―五七
その前には七の組に分たれし民見えたり、彼等はみなわが官能の二のうち、一に否と一に然り歌ふといはしむ 五八―六〇
これと同じく、わが目と鼻の間には、かしこにゑりたる薫物《たきもの》の煙について然と否との爭ひありき 六一―六三
かしこに謙遜《へりくだ》れる聖歌の作者|衣《きぬ》ひき※[#「寨」の「木」に代えて「衣」、第3水準1−91−84]《かゝ》げて亂れ舞ひつゝ恩惠《めぐみ》の器《うつは》にさきだちゐたり、この時彼は王者《わうじや》に餘りて足らざりき 六四―六六
對《むかひ》の方《かた》には大いなる殿《との》の窓の邊《ほとり》にゑがかれしミコル、蔑視《さげすみ》悲しむ女の如くこれをながめぬ 六七―六九
我わが立てる處をはなれ、ミコルの後方《うしろ》に白く
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