よ、いざ目を鋭くして眞《まこと》を見よ、そは被物《おほひ》はげに今いと薄く、内部《うち》をうかがふこと容易なればなり 一九―二一
我はかの際《きは》貴《たか》き者の群《むれ》の、やがて色|蒼《あを》ざめ且つ謙《へりくだ》り、何者をか待つごとくに默《もだ》して仰ぎながむるを見き 二二―二四
また尖《さき》の削りとられし二の焔の劒《つるぎ》をもち、高き處よりいでて下り來れるふたりの天使を見き 二五―二七
その衣《ころも》は、今|萌《も》えいでし若葉のごとく縁なりき、縁の羽に打たれ飜《あふ》られて彼等の後方《うしろ》に曳かれたり 二八―三〇
そのひとりは我等より少しく上方《うへ》にとゞまり、ひとりは對面《むかひ》の岸にくだり、かくして民をその間に挾《はさ》めり 三一―
我は彼等の頭《かうべ》なる黄金《こがね》の髮をみとめしかど、その顏にむかへば、あたかも度を超ゆるによりて能力《ちから》亂るゝごとくわが目|眩《くら》みぬ ―三六
ソルデルロ曰ふ。彼等ふたりは溪をまもりて蛇をふせがんためマリアの懷《ふところ》より來れるなり、この蛇たゞちにあらはれむ。 三七―三九
我これを聞きてそのいづれの路より
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