七八
されどオリアーコにて追ひ及《し》かるゝとき、若しはやくラ・ミーラの方《かた》に逃げたらんには、我は息通《いきかよ》ふかなたに今もありしなるべし 七九―八一
われ澤に走りゆき、葦《あし》と泥《ひぢ》とにからまりて倒れ、こゝにわが血筋《ちすぢ》の地上につくれる湖《うみ》を見ぬ。 八二―八四
この時また一者《ひとり》いふ。あゝねがはくは汝を引きてこの高山《たかやま》に來らしむる汝の願ひ成就せんことを、汝善き憐《あはれみ》をもてわが願ひをたすけよ 八五―八七
我はモンテフェルトロの者なりき我はボンコンテなり、ジヨヴァンナも誰もわが事を思はず、此故にわれ顏を垂れて此等の者と倶に行く。 八八―九〇
我彼に。汝の墓の知られざるまで、カムパルディーノより汝を遠く離れしめしは、そも/\何の力何の運ぞや。 九一―九三
彼答ふらく。あゝカセンティーノの麓に、横さまに流るゝ水あり、隱家《かくれが》の上なるアペンニノより出で、名をアルキアーノといふ 九四―九六
われ喉を刺されし後、徒《かち》にて逃げつゝ野を血に染めて、かの流れの名消ゆる處に着けり 九七―九九
わが目こゝに見えずなりぬ、わが終焉《をはり》の
前へ
次へ
全396ページ中28ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 丙三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング