八
この言《ことば》にはげまされ、我は彼のあとより匍匐《はひ》つゝわが足圓の上を踏むまでしひて身をすゝましむ 四九―五一
我等はこゝに、我等の登れる方《かた》なりし東に向ひて倶に坐せり、そは人顧みて心を慰むる習ひなればなり 五二―五四
我まづ目を低き汀《みぎは》にそゝぎ、後これを擧げて日にむかひ、その光我等の左を射たるをあやしめり 五五―五七
詩人はわがかの光の車の我等とアクイロネの間を過ぐるをみていたく惑へることをさだかにさとり 五八―六〇
即ち我にいひけるは。若しカストレとポルルーチェ、光を上と下とにおくるかの鏡とともにあり 六一―六三
かつかのものその舊き道を離れずば、汝は赤き天宮の今よりもなほ北斗に近くめぐるをみるべし 六四―六六
汝いかでこの事あるやをさとるをねがはば、心をこめて、シオンとこの山と地上にその天涯を同じうし 六七―
その半球を異にするを思へ、さらば汝の智にしてもしよく明《あきらか》にこゝにいたらば、かのフェートンが幸《さち》なくも
車を驅るを知らざりし路は何故に此の左、彼の右をかならず過ぐるや、汝これを知るをえむ。 ―七五
我曰ふ。わが師よ、才の足らじとみえしと
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