かくして國を得ず、罪と恥をえむ、これらは彼が斯《かゝ》る禍ひを輕んずるにより、彼にとりていよ/\重し 七六―七八
我見るに、嘗てとらはれて船を出でしことあるカルロは、己が女《むすめ》を賣りてその價を爭ふこと恰も海賊が女の奴隷をあしらふに似たり 七九―八一
あゝ貪慾《むさぼり》よ、汝わが血族《ちすぢ》を汝の許にひきてこれに己が肉をさへ顧みざらしめしほどなれば、この上《うへ》何をなすべきや 八二―八四
我見るに、過去《こしかた》未來《ゆくすゑ》の禍ひを小《ちひ》さくみえしめんとて、百合《フイオルダリーゾ》の花アラーニアに入り、クリストその代理者の身にてとらはれたまふ 八五―八七
我見るに、彼はふたゝび嘲られ、ふたゝび醋《す》と膽《い》とを嘗《な》め、生ける盜人の間に殺されたまふ 八八―九〇
我見るに、第二のピラート心殘忍なればこれにてもなは飽かず、法によらずして強慾の帆をかの殿《みや》の中まで進む 九一―九三
あゝ我主よ、聖意《みこゝろ》の奧にかくれつゝ聖怒《みいかり》をうるはしうする復讎を見てわがよろこぶ時いつか來らむ 九四―九六
聖靈のたゞひとりの新婦《はなよめ》についてわが語り、汝を
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