三三
我曰ふ。あゝかく大いなる善を語る魂よ、汝は誰なりしや、何ぞたゞひとりこれらの讚《ほ》むべきわざを新たに陳ぶるや、請ふ告げよ 三四―三六
果《はて》をめざして飛びゆく生命《いのち》の短き旅を終へんためわれ世に歸らば、汝の詞|報酬《むくい》をえざることあらじ。 三七―三九
彼。我はかしこに慰《なぐさめ》をうるを望まざれども、かく大いなる恩惠《めぐみ》いまだ死せざる汝の中に輝くによりてこれを告ぐべし 四〇―四二
一の惡しき木その蔭をもてすべてのクリスト數國をおほひ、良果《よきみ》これより採らるゝこと罕《まれ》なり、そも/\我はかの木の根なりき 四三―四五
されどドアジォ、リルラ、ガンド、及びブルーゼスの力足りなば報《むくい》速かにこれに臨まむ、我また萬物を裁《さば》き給ふ者にこの報を乞ひ求む 四六―四八
我は世に名をウーゴ・チャペッタといへり、多くのフィリッピとルイージ我よりいでて近代《ちかきよ》のフランスを治む 五二―五四
我は巴里《パリージ》のとある屠戸《にくや》の子なりき、昔の王達はやみな薨《かく》れて、灰色の衣を着る者獨り殘れるのみなりし頃 五二―五四
我は王國の統御の手綱のか
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