る罪を一|滴《しづく》また一滴、目より注ぎいだす民、あまりに縁《ふち》近くゐたればなり 七―九
禍ひなるかな汝年へし牝の狼よ、汝ははてしなき饑《う》ゑのために獲物《えもの》をとらふること凡ての獸の上にいづ 一〇―一二
あゝ天よ(人或ひは下界の推移を汝の運行に歸するに似たり)、これを逐ふ者いつか來らむ 一三―一五
我等はおそくしづかに歩めり、我は魂等のいたはしく歎き憂ふる聲をききつゝこれに心をとめゐたるに 一六―一八
ふと我等の前に、産《うみ》にくるしむ女のごとく悲しくさけぶ聲きこえて、うるはしきマリアよといひ 一九―二一
續いてまた、汝の貧しかりしことは汝が汝の聖なる嬰兒《をさなご》を臥さしめしかの客舍にあらはるといひ 二二―二四
また次に、あゝ善きファーブリツィオよ、汝は不義と大いなる富を得んより貧と徳をえんと思へりといふ 二五―二七
これらの詞よくわが心に適《かな》ひたれば、我はかくいへりとみゆる靈の事をしらんとてなほさきに進めるに 二八―三〇
彼はまたニッコロが小女《をとめ》等の若き生命《いのち》を導きて貞淑《みさを》に到らしめんため彼等にをしまず物を施せしことをかたれり 三一―
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