かれ、これをえんとの願ひを起して身を前に伸ぶ 六四―六六
我亦斯の如くになりき、かくなりて、かの岩の裂け登る者に路を與ふるところを極め、環《めぐ》りはじむる處にいたれり 六七―六九
第五の圓にいでしとき、我見しにこゝに民ありき、彼等みな地に俯《うつむ》き伏して泣きゐたり 七〇―七二
わが魂は塵につきぬ[#「わが魂は塵につきぬ」に白丸傍点]、我はかく彼等のいへるをききしかど、詞ほとんど解《げ》しがたきまでその歎息《なげき》深かりき 七三―七五
あゝ神に選ばれ、義と望みをもて己が苦しみをかろむる者等よ、高き登の道ある方《かた》を我等にをしへよ。 七六―七八
汝等こゝに來るといへども伏すの憂ひなく、たゞいと亟《すみや》かに道に就かんことをねがはば、汝等の右を常に外《そと》とせよ。 七九―八一
詩人斯く請ひ我等かく答へをえたり、こは我等の少しく先にきこえしかば、我その言《ことば》によりてかのかくれたる者を認め 八二―八四
目をわが主にむけたるに、主は喜悦《よろこび》の休徴《しるし》をもて、顏にあらはれしわが願ひの求むるところを許したまへり 八五―八七


我わが身を思ひのまゝになすをえしとき、
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