aeati qui esuriunt et sitiunt institiam とあり、その中の esuriunt を省きて單に Beati qui sitiunt iustitiam(義に渇く者は福なり)といへるなり、饑う[#「饑う」に白丸傍点](esuriunt)を省けるはこれを渇く[#「渇く」に白丸傍点]とわかちて第六圈の頌詠となさんためなり(淨、二四・一五一以下參照)
異本にシチオー(sitio 我渇く)とあり、前項異本の文とあはせて委しくはムーアの『用語批判』四〇五頁以下を見よ
一三―一五
【ジヨヴェナーレ】デーチムス・ユーニウス・ユーヴェナリス。有名なるラテン詩人(一三〇年頃死)、その諷刺詩第七篇(八二行以下)にスタティウスの著作を稱讚せる詞いづ
一九―二一
【わが手綱】わが問ひ露骨にして禮を失ふことあらば
三一―三三
【圈】第五圈
三四―三六
【あまりに】浪費の罪に陷るばかりに
【幾千の月】五百年餘の間(淨、二一・六七以下)浪費の罰をうく
三七―四二
【あゝ黄金の】貪る者も費す者も共に黄金を求めていかなる惡をも行ふをいふ
この句『アエネイス』三・五六―七にいづ、但し sacra(sacer 聖《きよ》き、不淨の)を不淨の意に用ゐることイタリア語の用例に反するがゆゑに異説多し
【轉ばしつゝ】第四の地獄にて重荷をまろばすこと(地、七・二五以下參照)
【牴觸】原、試合。貪る者と費す者と相互に打當ること(同上)
四三―四五
汝の言を聞きてみだりに費すことの罪なるを知り、これを悔ゆることわが他の罪の如くなりき
四六―四八
【髮を削りて】最後の審判の日浪費の記念に髮を短くして墓より起き出るをいふ(地、七・五五―七並びに註參照)
四九―五一
地獄と同じく淨火にても罪の相反するもの(浪費と強慾の如き)同一の場所に罰せらる。縁を涸らす[#「縁を涸らす」に白丸傍点]は活力を消耗するなり、即ち悔恨によりて罪を贖ふなり
五五―五七
【牧歌】ウェルギリウスの著作に牧歌十篇(Bucolica)あり
【二重の憂ひ】テバイ王オイディプスとヨカステ(ヨカスタ)の間の二子(エテオクレス、ポリュネイケス)。ヨカステ、オイディプスの己が子なるを知りて縊死す
【酷き】兄弟相殺すにいたれる(地、一四・六七―七二註及び二六・四九―五四註參照)。この爭のことスタティウスの『テバイス』にいづ
五八―六〇
汝が『テバイス』に詩神ムーサの一なるクレィオ(クリオ)の助けを求め且つその徳をほめたゝへし言葉をおもへば汝はその頃未だキリストの教へを信ぜざりしに似たり(ムーアの『ダンテ研究』第一卷二四四頁參照)
六一―六三
【日】天の光即ち神の導
【燭】地の光即ち人の教へ
【漁者】聖ピエートロ(ペテロ)。キリスト十二弟子の一、魚を漁《すなど》りまた人を漁る(マタイ、四・一八以下等)。これに從つて帆を揚ぐるはその信仰にならひてキリスト教徒となるをいふ
六四―六六
七三行とその意同じ
【パルナーゾ】パルナッソス、ポキス(ギリシアの)の山、詩神等の住むところ
七〇―七二
【世改まり】第四牧歌(五―七)にいづ、中古世に行はれし説に從ひ、この歌をもて救世主(新しき族[#「新しき族」に白丸傍点])降臨の豫言と見做せるなり
【人の古】第四牧歌にはサトウルヌスの王國とあり、世再び罪の涙なき黄金時代にかへるをいふ
七三―七五
【彩色】明細にかたること
七六―七八
【眞の信仰】キリスト教の信仰
【永久の國の使者等】天國の使者即ち使徒等
八二―八四
【ドミチアーン】ドミティアヌス。ヴェスパシアヌスの第二子、兄ティトウス(淨、二一・八二)の後を承けて八一年より九六年まで皇帝たり
八八―九〇
【わが詩に】我未だ『テバイス』第九卷を終へざるさきに
【テーべの流れ】『テバイス』第九卷に王アドラストスがギリシア人をみちびいてテバイ附近の二水イスメノスとアソポスに倒れることみゆ
九一―九三
【微温】怠慢の罪
九四―九九
【幸】キリスト教の信仰
【年へし】異本、友
【テレンツィオ】プブリウス・テレンティウス・アルフェル。ラテン詩人にて喜劇の作者なり(前一五九年死)
【チェチリオ】カエキリウス・スタティウス。ラテン詩人(前一六八年頃死)
【プラウト】ティトゥス・マッキウス・プラウトゥス。ラテン詩人(前一八四年死)。カエキリウスと同じく喜劇の作者なり
【ヴァリオ】ヴァルロ。プブリウス・テレンティウス・ヴァッロ・アタキヌス。ラテン詩人(前三七年頃死)
【何の地方】地獄の第何圈
一〇〇―一〇二
【ペルシオ】アウルス・ペルシウス・フラックス。ラテン諷刺詩人(三四―六二年)
【ギリシア人】ホメロス(地、四・八五以下參照)、詩人中の詩人
一〇三―一〇五
【第一の輪】地獄の第一圈即ちリムボ
【乳母等】ムーサ
【山】パルナッソス
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