間の頃なるべし(地、一一・一一二―四註參照)
二二―二四
【第一の民】アダムとエヴァ。彼等樂園を逐はれし後は南半球に人の住めることなし
【四の星】想像の四星。註繹者曰、四星は四大徳即ち思慮、公義、剛氣及び節制を表はすと
二五―二七
【北の地】人の住む處なる北半球。星を見ざるは徳の光を失へるなり
三一―三三
【翁】マルクス・ポルチウス・カトー・ウティチェンシス(前九五―四六年)。自由を唱道してポムペイウスに與《くみ》せしがポムペイウス、カエサルに敗らるゝに及びウティカに退き自刃して死す
カトーは自由の保護者として淨火の島の島守となり、罪の覊絆を脱却して靈の自由を求むる魂等を勵ますなり、ダンテは他の著作に於ても屡※[#二の字点、1−2−22]カトーを激賞せり(『デ・モナルキア』二、五・一三二以下。『コンヴィヴィオ』四、二八・一二一以下等)
又カトーは自殺者として地獄の第七圈に罰せらるべきものなれども古來俗衆の間にてもまた寺院内にても彼の尊重せらるゝこと深く且つウェルギリウス自身その『アエネアス』の中に彼を敬虔なる者の首長となして彼等に法を與へしめたれば(八・六七〇)ダンテも彼にかゝる大切なる地位を保たしめしなり
四〇―四二
カトーは兩詩人を地獄より逃げ來れる魂なりとおもへるなり
【失明の川】闇を流るゝ地下の小川(地、三四・一二七以下)
四六―四八
【淵の律法】地獄の律法即ち地獄に罰せらるゝものその刑場を離るゝをえざるをいふ
四九―五一
【目】原文、眉。ウェルギリウスはダンテをして跪き且つ目を垂れしめしなり
五二―五四
【淑女】ベアトリーチェ(地、二・五二以下參照)
五八―六〇
【最後の夕をみず】死せるにあらず。神恩全く絶えて靈的生命を失へるにあらざる意を寓せり
【たゞいと短き】或ひは、今|少時《しばらく》せばその踵をめぐらしがたし
六一―六三
【路ほかに】地、一・九一以下及び一一二以下參照
六七―六九
【詞】教へ(九四行以下)
七〇―七二
【自由】罪を離れて靈の自由を得ること
七三―七五
【そがために】カトーは自由を失ひて世に生きんより自由の身として世を去らんとて死せるなり(『デ・モナルキア』二、五・一三六以下參照)、その求めし自由は政治上の自由なれども靈の自由と基づくところ相同じ
【大いなる日】最後の審判の日
【衣】肉體
七六―八一
【ミノス】地獄の法官(地、五・四以下)
【マルチア】カトーの妻(『コンヴィヴィオ』四、二八・九七以下參照)リムボにあり(地、四・一二八)
八二―八四
【七の國】淨火の七圈
八五―八七
【世に】原文、かなたに。以下この例多し、一々註せず
八八―九〇
【禍ひの川】アケロンテ(地、三・七〇以下參照)
【かしこを出し】リムボを出し
スカルタッツィニ曰。カトーの死はキリスト(クリスト)の死より早きこと約八十年なり、而してキリストの地獄を訪はざりしさきには人の魂救はれしことなし(地、四・六三)さればカトーもまた多くの魂とともにリムボにありて救ひの日即ち權威ある者の地獄に來る日を待てるなるべし
【律法】救はれし者は地獄に罰をうくるもののためにその心を動かすをえず(ルカ、一六・二六參照)
九四―九六
【齎】罪を淨むるにあたりて最も主要の徳なる謙遜のしるし
【汚穢】地獄の空氣よりうけし
九七―九九
【霧】地獄の
【最初の使者】淨火の門を守る天使(淨、九・七六以下)
一〇三―一〇五
【打たれて】浪に。藺はよく屈折して打つ浪に逆はざるが故に水際に生を保てども他の草木は然らず
謙遜の人は心を屈して神に從ふがゆゑによく刑罰に耐へてその罪を淨むるをうれども、この徳は有せざる人はしからず
一一二―一一四
【端】水際
【後に】詩人等北極の方に向ひてカトーを見、後うしろにむかひて海濱にいたる、知るべし彼等のはじめ島の南方にあらはれしを
一一五―一一七
【朝の時】l'ora mattutina 曉の前、明方《あけがた》近き夜の時をいふ。殘りの闇曉に追はれて逃げゆき、海のさゞ波みゆるなり
或日。ora は微風なり、日出前の微風黎明に追はれて海原遠く小波をたゝふるをいふと
一二一―一二三
【日と戰ひ】長く日の光に耐ふるをいふ
一二七―一二九
【涙】地獄にて流せる
【色】本來の色。ウェルギリウスは地獄の惡氣のために汚れしダンテの顏を露にて洗ひ、再びもとの色にかへせり
一三〇―一三二
【歸りしことなき】地、二六・一三九―四一並びに註參照
一三三―一三六
【かの翁】原文、他の者(altrui)
【再び】穗は頒つによりて減ずることなし
第二曲
詩人等なほ汀に立てるに、ひとりの天使船をあやつりて岸に着き一群の魂を置きて去る、ダンテの友カセルラこの魂の中にあり、請はれて戀歌をうたふ、衆その聲のうるはしきにめで、とゞまりてこれに耳を傾け、
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