と、その後これに加はりて特殊の信を生むにいたれるものとともにわすらる 六一―六三
この故に宇宙の中心ディーテの座所ある最小の獄にては、すべて信を賣るもの永遠《とこしへ》の滅亡《ほろび》をうく 六四―六六
我、師よ、汝の説くところまことに明かに、この深處《ふかみ》とその中なる民をわかつことまことによし 六七―六九
されど我に告げよ、泥深き沼にあるもの、風にはこばるゝもの、雨に打たるゝもの、行當りて罵るもの 七〇―七二
もし神の怒りに觸れなば何ぞ罰を朱《あけ》の都の中にうけざる、またもし觸れずば何故にかゝる状態《さま》にありや 七三―七五
彼我に曰ふ、汝の才何ぞその恆《つね》をはなれてかく迷ふや、またさにあらずば汝の心いづこをか視る 七六―七八
汝は天の許さゞる三の質《さが》、即ち放縱、邪惡、狂へる獸心をつぶさにあげつらひ 七九―
また放縱は神の怒りにふるゝこと少なく誹りを招くこと少なきをいへる汝の倫理の言を憶《おも》はずや ―八四
汝善くこの教へを味ひ、かつ上に外《そと》に罰をうくるものゝ誰なるやを恩ひ出でなば 八五―八七
また善く何故に彼等この非道の徒《ともがら》とわかたれ、何故に彼等を苛責する神の復讎の怒りかへつて輕きやを見るをえん 八八―九〇
我曰ふ、あゝ一切のみだるゝ視力を癒す太陽よ、汝解くにしたがひて我心をたらはすが故に、疑ひの我を喜ばすこと知るにおとらじ 九一―
請ふなほ少しく溯りて、高利を貪るは神恩にさからふものなりとの汝の言に及び、その纈《むすび》を解け ―九六
彼我に曰ふ、哲理はこれを究むる者に自然が神の智とその技《わざ》よりいづるを處々に示せり 九七―
汝また善く汝の理學を閲《けみ》せば、いまだ幾葉ならざるに汝等の技《わざ》のつとめて
自然に從ふこと弟子のその師における如く、汝等の技は神の孫なりともいひうべきを見ん ―一〇五
人みな生の道をこの二のものに求め、しかして進むべきなり、汝『創世記』の始めにこの事あるを思ひ出づべし 一〇六―一〇八
しかるに高利を貪るものは、これと異なる道を踏みて望みを他《ほか》に置き、自然とその從者をかろんず 一〇九―一一一
されどいざ我に從へ、われ行くをねがへばなり、雙魚天涯に煌《きら》めき、北斗全くコーロの上にあり 一一二―一一四
しかもくだるべき斷崖《きりぎし》なほこゝより遠し 一一五―一一七
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