馬鹿にし切って鼻毛までも数え得るという冷静さと同時に、上《うわ》っ面《つら》だけは甘ったれたのんびりした気分から鼻毛でも勘定して見ようかという閑日月が出て来る。その気持ちを代表した睡《ねむ》そうな薄笑いがそうした場合の女性の鼻の表現に上《のぼ》ってはいまいかと想像し得る位の事であります。
これに反して純然たる性格を代表した鼻の表現の批評に「意地悪根性の鼻まがり、ぬかるみ辷《すべ》ってツンのめろ」という俚謡《りよう》があります。「ぬかるみ辷って」云々は余計な言葉のようでありますが、実は左様《さよう》でないので、相手があまり嵩《かさ》にかかって意地悪を発揮して来る、こちらを圧倒すべく鼻がイヤに下を向いて折れ曲って来るような感じを与える、此奴《こやつ》がツンノメッテヒシャゲてしまったら嘸《さぞ》いい心持ちであろうという心を唄ったもので、小供が大人にいじめられて安全地帯まで逃げ出した時なぞによくこんな事を云ってはやし立てているのを見受けます。
「鼻がつまったような奴」という形容詞は一寸《ちょっと》珍らしく感ぜられるかも知れませぬが、あるにはあります。これも前のと同様に純然たる性格の表現で、一
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