されそうな気色はありませぬ。「男性の貞操に関する法律」が婦人議会で可決されて、婦人の司法官に依ってビシビシ執行されない限り、一般の男性は依然として旧来の道徳と習慣の中《うち》に活躍するものと考えるのが至当でありましょう。そんな法律を男性は一笑に付して、益《ますます》つけあがるでありましょう。自分の良心の許可まで受けている気になって――否、良心の批難の方が時代遅れの世間知らず位に考えて――甚だしきに到っては男性の愛と女性の愛とはその根本の要素に格段の相違があるものなぞと悟りを開いて、盛んに性欲の漏電や性愛の混線をやるに決っております。
さながらに漬物の味見でもするように、異性の性愛の芽立ちから薹《とう》立ち迄、又は生《なま》なれから本《ほん》なれへと漁《あさ》り歩きます。デカダンの非道《ひど》いのになると、腐りのまわった捨てものが一番いいなぞと云い出す位で、どこ迄行っても男性の良心は行き詰まりませぬ。真の愛を味覚する機会を見出だしませぬ。
こうして男性なるものは、その愛の第一義を二方面にも三方面にも、或《あるい》は二重にも三重にも使いわけて当り前だという顔をしております。そうしなけれ
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