《きら》めきが夜の世間から退散しない筈であります。
 つまるところ遺憾ながら、問題は矢張り法律の必要な世界に逆戻りして来るので、結局原則は原則、実際は実際という事になります。親同志で勝手に取り決めた不見転式《みずてんしき》の許嫁《いいなずけ》が幸福やら、合わせ物、離れ物式が真理やら、今の世の中ではわからない事になって来ます。
 日本ではまだ戦国時代の婦人邪魔物的観念、封建時代の人間の消費経済や血統保存、又は家庭経済の成り立ちから来た道徳的習慣なぞが残っております。そのために婦人は多少に拘らず束縛されて、貞操を破り難い立場に置かれておりまして、その貞操に対する道徳的習慣は、殆どその良心の鋭敏さ――純潔無垢な恋の発露と一致せねばならぬ位に切り詰められております。道徳の方からは、「貞女両夫に見《まみ》えず」なぞと睨み付けられているし、習慣の方からは世間の口端《くちは》という奴が「女にあれがあってはねえ」と冷たい眼で見詰められております。女性の良心はこの点では、直《すぐ》に行き詰《づま》らせられるのであります。
 一面から見れば日本の文化程度は、形而上だけでも婦人の貞操に就いて進歩している、純
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