小さな丸薬だ。それを飲めばどんなテンカンでもすぐになおる。嘘だと思うなら嘗《な》めて見ろ」
 お爺さんはすぐに舌を出して、自分の掌《てのひら》をペロリと嘗めて舌なめずりをしましたが、
「フーン。これは不思議だ。大層いいにおいがしますな。何だか腹の中まで涼しくなるような……」
 と眼をキョロキョロさせました。
「それで貴様のテンカンは治ったのだ。そのお礼に貴様は今から町へお使いに行って来い。それはおれども三人の着物を買いにゆくのだ。おれはちょうど貴様と同じ位の身体《からだ》だからお前の身体《からだ》に合う上等の着物と、それから五尺五寸の女の着物と、五尺八寸の男の着物と買って来い。お金はここにある」
 と、鞄の中から金貨を一掴み出してやりました。
 お爺さんはその金を受け取らずに手を振って申しました。
「いけませんいけません。私の病気はビックリテンカンというので、何でもビックリすると眼がまわって引っくり返るのです。ですから、こんな淋しいところの一軒家に居るのです。とても賑《にぎ》やかな、ビックリすることばかりある町へはゆかれませんから、こればかりは勘弁《かんべん》して下さい」
 と申しまし
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