とで診《み》てもらうかどうだかきめたらいいでしょう」
と、無理に豚吉の手を引いて中へ這入って行きました。
豚吉とヒョロ子は無茶病院に這入って、院長の無茶先生に会いますと、先生は髭もあたまも野蕃人のように長くのばして、素《す》っ裸体《ぱだか》で体操をしていましたが、二人の姿を見るとニコニコして裸体《はだか》のまま出て来て、
「ヤア、よく来たよく来た。お前たちのような片輪は珍らしい。しかも夫婦揃って来るとは感心感心。おおかた当り前の身体《からだ》に治してもらいに来たのだろう。よく来たよく来た。おれがすぐに治してやる。お前たちのような病人を治すものは世界中におれ一人しか居ないのだ。さあ、こっちへ来い」
と独りでしゃべりながら、豚吉の手を掴まえて奥の方へ引っぱって行こうとしました。
「一寸《ちょっと》待って下さい」
と叫んで豚吉は手を引っこめました。
「あなたはどんなことをして私の身体《からだ》を治して下さるのですか」
「アハハハハハハ。貴様はよっぽど弱虫だな。そんなことではお前の身体《からだ》は治らないぞ。おれは貴様の背骨を引き抜いて長くしておいて、それにお前の身体《からだ》を引きの
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