と思っておりますところへ、この家《うち》の若い主人夫婦が出て参りまして、
「何だ何だ。みんな、何だってそんなに仕事を休んでいるのだ」
と叱りましたが、この話を女中からききますと、やっぱり眼を丸くしまして、
「おお、それは面白い。おれも玉葱の皮だの大根の首だのの料理はきいたことが無い。それに、山男の魔法使いだの鉄の人間だのいうものも見たことが無い。それではお爺さん。お前さんの云う通りの品物をみんな揃えてあげるから、お前さん、ごく内証で私達夫婦をつれて行ってくれないか。私たちはその玉葱の皮や何かのお料理が見たいから」
と云いました。けれども、お爺さんはなかなかききません。
「あの山男は鉄槌で人間をたたき殺して、火にくべて真赤に焼いて、たたき直したりするのですから、うっかり見つかると、私共はどんな魔法にかかるかわかりません」
「それはいよいよ不思議だ。なおの事その山男の魔法使いが見たくなった。是非つれて行ってくれ」
「いけませんいけません」
と、何遍も何遍も云い合いました。
その時にこの料理屋の二階に田舎のお爺さんが二人御飯を喰べさしてもらいに来ましたが、あんまり御飯が出来ませんので
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