》てこの花時を区切って全盛時代を見せるかも知れぬ。又は第二期の深刻味をあらわし始めるかも知れぬ。
いずれにしてもこの春が問題である。この記事がそうした人気や風俗の移りかわりを見分ける標準となったら幸である。
更に地方の特色の美しさや尊さを忘れて、東京を神様のように思っている人々のために、又はその子弟を東京に遣っている人々のために参考となったら、記者の苦心はどれ位酬いられるであろうか。
警視庁の映画検閲官|曰《いわ》く
東京人の堕落時代を描き出す前に、取り敢ず読者の記憶を呼び起しておかねばならぬ事がある。
昨冬二十六日付の九州日報夕刊に大略左のような記事が載っていた。
× × ×
大正十三年の一月から十一月まで警視庁で検閲した映画の数が一万八千巻、千六百|呎《フィート》、切った長さが約六万|呎《フィート》……以て如何に「活動」が盛《さかん》であるかがわかる。
次に切ったフイルムを国別にして見ると、
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検閲巻数 同上呎数 切除呎数
日本物 七、九五四
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