ら今のお嬢さん達もこっちへ這入って火に当らせたらどうだい。相手は俺だから構うことはない。裸体《はだか》ズレがしているルンペン様だから恥かしい事はないよ。素裸体《すっぱだか》の方が気楽でいいんだ。序《ついで》に生命《いのち》の洗濯をさしてやろう。面白い話があるんだから……」
「オホホ。あの子たちは今日お天気がいいもんですから、お客の少ない昼間のうちに申合せて着物のお洗濯をしているのですよ。その着換えが御座いませんので、仕方なしにゆもじ一つでストーブへ当っておりますところへ、先生が入《い》らっしたもんですから、ビックリして逃げて行ったので御座いますよ。ホホホ。でもねえ、まさか先生の前に裸体で出られやしませんからね、若い女ばかりですから……」
「馬鹿云え。先祖譲りの揃いの肉襦袢《にくじゅばん》が何が恥かしいんだ。俺だってこの二重マントの下は褌《ふんどし》一つの素っ裸体なんだぞ。構わないからみんなこっちへ這入らせろ」
「ホホホホホホホホホ。かしこまりました」
 女将は嬌笑しいしいイソイソとコック部屋へ引上げると間もなくポーンと瓦斯焜炉《がすこんろ》へ火の這入る音がした。この家《うち》の支那料理
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