れい》サッパリと白状しちまうんだ。だから僕の事を閻魔《えんま》様と云うんだ。がそんな奴でないと、イザとなった時にタタキまわしが利かないから妙だよ。……見たまえ。あれが最旧式の宮原式ボイラーなんだ。二三十年前に出来た骨董品だが、博物館あたりへ寄附しても相当喜ぶシロモノだよ。ハッハッ。ナアニ大丈夫だよ。爆発なんかしないよ。出来は古いがガッチリしているからね。安全弁があんなに白いスチームを吐いているだろう……ブーブーいってるのが聞えるかい。ウン……見えるけど聞えない……慣れないからだよ。
アッ……蓋《ふた》を明《あ》けた。眩《まぶ》しいだろう。
汽鑵《ボイラー》の蓋を明けたんだよ。まるで太陽だろう。アハハ。もうあんなに白熱しているんだからね。あれで千二三百度ぐらいのもんだろうよ。それでもあの中へ人間一人ブチ込んだら、五分間で灰も残らないよ。美味《おいし》そうな臭いだけは残るがねハッハッハッ。
人間をブチ込んだ事があるかって……あるともさ。人間ばかりじゃない。品物だって何だって面倒臭いものはミンナ打《ぶ》ち込むんだ。この間なんぞは鉄砲を積んで呉淞《ウースン》に這入りかけたら、その間際で船
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