と声で躍ったり、跳ねたり、転がりまわり、匐《は》いまわり、笑いまわり、泣きまわってお出でになりました。
私は暫くの間、茫然とそんな光景を見恍《みと》れておりました。
「現代の文明は男性のための文明」と仰言った校長先生の演説のお言葉を思い出しながら、こうした妖怪じみた人間と美人たちの乱舞を生まれて初めて眼の前に見て、気が遠くなるほど呆れ返っておりましたが、やがて吾に帰りました私は、屋根の端に身を逆様にしながら、落ち着いてコダックの焦点を合わせました。そうして、わざと蝋マッチを一本パチンと擦ったアトで、皆様がこちらをお向きになった瞬間を見澄まして、発光器《フラッシュ》を燃やしましたが、強い、青白い光線はズッと向うの広間の向う側までも達したように思いました。
私が発光器《フラッシュランプ》を眼の下の深い木立の中へ投げ棄てますと、長椅子の上で遊び戯《たわむ》れておりました婦人たちの中にはキャア――ッと叫んで着物を着ようとした人もおったようでした。
「何だったろう、今のは……」
「恐ろしく光ったじゃないか」
「パチパチと言ったようだぜ」
「星が飛んだんだろう」
「馬鹿な。今夜は曇っているじゃ
前へ
次へ
全225ページ中218ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング