私の直ぐ横で、長い長いため息をしました。赤の他人よりもモットモットつめたい、もっともっと赤の他人らしい溜息を……。
「一昨日、お前を診《み》て下さった……昨夜《ゆうべ》も診に来て下すった先生は、その方の研究で墺太利《オーストリー》まで行って来られた有名な医学博士だったのだぞ。どんな言い訳をしても通らない、科学上の立派な証拠を……俺は……俺は……眼の前に突き付けられたのだぞ……」

 ……何と言う恐ろしい科学の力……。
 私がもう清浄な身体《からだ》でないこと……自分でもそうは思われないくらいの儚《はか》ない一刹那の出来事……それがタッタ一滴の血液の検査でわかるとは……。
 ……何と言う残酷な科学の審判……。
 私はモウ何の他愛もなく絨氈《じゅうたん》の上に……両親の足元に泣き崩《くず》れてしまいました。
 絶体絶命になった私……。
 父は私に是が非でも相手を打ち明けよと迫りました。決して無理な事はしない。キット添わせて遣る。お前の事をソンナにまで思って下さる人がおられる事を俺達が気付かなかったのが悪かったのだ。どんな相手でもいいから打ち明けよ。親の慈悲というものを知らぬか……と両親とも
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