文字]
十字架上に[#「十字架上に」は2段階大きな文字]
持主不明の花簪と共に市内[#「持主不明の花簪と共に市内」は1段階大きな文字]
天主教会にて発見さる[#「天主教会にて発見さる」は1段階大きな文字]
前廂に残る疑問の歯型
県立高等女学校は既報の如く、去る三月二十六日の怪火以来、ミス黒焦、校長の失踪、同発狂、虎間女教諭の縊死《いし》、川村書記の大金|拐帯《かいたい》等の怪事件を連続的に惹起し、まだ怪火の正体さえ判明せざるうちに、同校と県、警察当局とを未曾有《みぞう》の昏迷の渦巻に巻込んでいるが、更に又、最近に前記森栖校長の信仰|措《お》かざりし天主教会内にて、意想外の怪事件を派生し、関係者一同を層、一層の昏迷に陥《おとしい》れている。今《こん》五日午前十時頃、市内海岸通二丁目四十一番地四角、天主教会にては日曜日の事とて、平常の如く信者の参集を待ち、祈祷会を開催すべく、礼拝堂正面の祭壇の扉を開きたるに、正面、祭壇の中央に安置されたる銀の十字架上に、見慣れぬ黒の山高帽と、赤き小米桜に銀のビラビラを垂らしたる花簪《はなかんざし》が引っかけ在る
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