わせて笑っていたようよ。そうしたら四十ぐらいの刑事巡査らしい、色の黒い骸骨みたいな男が、凹《くぼ》んだ眼を大きくギョロギョロさせながら、
「夫婦心中じゃないか」
って言ったの。そうして白い歯をむき出して笑ったから妾ギョットしちゃったわ。でも妾、頑固に頭を振ったもんだから、間もなくみんな帰って行ったわよ。
刑事なんて案外アタマのいいものね。その刑事の顔を思い出してもドキンとするわ。
妾、神様に感謝しているのよ。ヤケクソの妾が一緒に死ぬつもりでオーライって言ったのに、新高だけ殺して、妾だけ助けて下すったんですもの。
あたし頭の怪我がなおったらまた、ミナト・バスへ出て女車掌をつとめるわ。そうして今度こそ一生止めないわ。そうして女運転手になるわ。日本一の女運転手に……。妾これは神様の命令だと思っているの。
結婚なんか一生しないわ。妾は最早《もう》、女の一生の分ぐらい何もかもわかっちゃったんですからね。新高さんが生き返って来ない限り、ほかの男の人には用はないつもりよ。
新高さんの事がその時の新聞に大きく出ていたわ。「恐るべき色魔の殺人リレー」って言う標題でね。死んだ新高運転手は、東京
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