新高さんを殺す気なんか爪の垢ほどもなくなっちゃったのよ。智恵子さんに笑われても仕方がないわ。
 いったいこれはどうした事なんでしょう。妾の一生はこのまんまで平々ボンボンのままおしまいになるのでしょうか。新高さんと一緒になった最初の時のアノ張千切《はちき》れるようなモノスゴイ希望はいったい何処へ行ってしまったのでしょう。
 妾はコンナつもりで結婚したはずじゃなかったのよ。妾はこのまんまパンクしたタイヤみたいになって、何処までも何処までも転がって行かなければならないのでしょうか。
 店の先にブラ下がっている派手なメリンスのキレが眼に付いて眼に付いて仕様がなくなったのよ。赤ん坊の着物にはドンナのがいいかと思ってね。
 どうぞどうぞ笑って頂戴。人生なんてコンナものかも知れないわ。

     第四の手紙

 大変な事が起ったのよ。智恵子さん。あたし、死《な》くなったツヤ子さんとおんなじお手紙を貴女に書くわ。
 あたし近いうちに殺されそうなの。
 新高さんが妾のバスケットの中からツヤ子さんの手紙を発見したらしいのよ。新高さんはソンナ事をオクビにも出さないんですけどね。何だか心の底にヨソヨソし
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