ねる事が出来なくなりました。そうして新高さんの顔を見て涙をポロポロ流していたら、新高さんはニッコリ笑って私の肩をタタキました。
「アハハ。お前を殺そうてんじゃないよ。コンナ噂の手紙なんかホントにする奴があるもんか。馬鹿だな。お前は……」
と優しく背中を撫でてくれたのです。その時に妾は何だか新高さんに殺されそうな感じがしてならなかったのですよ。でも新高さんなら殺されてもいいような気もちになったもんですから、そのまんま黙っているのです。
この事はお父さんにも誰にも言わないつもりですけど、トミ子さんにだけ書いときますわ。
ね。私の事を忘れないでね。
私と新高さんとで楽しい家庭を持っても笑わないでね。心から祝福してね。さよなら。
[#地から2字上げ]浜松勉強バスにて ツヤ子より
これがツヤ子さんから来た最後の手紙だったのよ。
ね。智恵子さん。この手紙を書いたツヤ子さんは、それから一週間も立たないうちに死んじゃったのよ。そうして博多でお葬式があったのよ。
ツヤ子さんの遺骨を持ってお帰りになったお父さんのお話を聞いたら、ツヤ子さんはバス代用の新フォードに新高さんと一緒に乗って行く
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