行って、その中に自然と彼女自身の破局を構成して行ったのです。
しかるに小生等は、小生等自身の面目のために、真剣に、寄ってたかって彼女を、そうした破局のドン底に追いつめて行きました。そうしてギューギューと追い詰めたまま幻滅の世界へタタキ出してしまいました。
ですから彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んで行ったのです。
彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。
ただそれだけです。
この事を御報告申し上げて、御安心を願いたいためにこの手紙を書きました。
A・C《コカイン》のスプレーで睡魔を防ぎながらヤットここまで書いて参りましたが、もう夜が白《しら》けかかって脳味噌がトロトロになりましたから擱筆《かくひつ》します。
彼女が死んだ後までも小生等を抱き込んで行こうとした虚構《うそ》の流転も、それから貴下に対する小生の重大な責任もこの一文と共に完全に……何でもなく……アトカタもなく終焉を告げて行く事になります。
さようなら。
彼女のために祈って下さい。
殺人リレー
第一の手紙
山下智恵子様 みもとに
ミナト・バス
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