た児がもし二十五になっても悪い事をやめていなかったら、罰を喰わせる事にしよう。又良い児が悪くなっていたら、御褒美をやらない事にしよう」
「うん、それがいい。僕もそれじゃ来年は勉強をして、猪のようにあばれて悪い事をする児と、猪のように一所懸命に好い事をする児の名前を集めよう。そうして猪の年の児がどんなによくなるか悪くなるか気をつけていよう」
二人は手を打って、
「それがいい、それがいい」
と言いました。
そのうちに十二時の鐘が鳴りました。
「やあ鐘が鳴った。君も僕の大好きの処まで降って来たようだ。では出かけようではないか」
二人は表に出て右と左に別れました。その時二人は帽子をふって、
「犬の年の児万歳」
「猪の年の児万歳」
と叫びました。
底本:「夢野久作全集7」三一書房
1970(昭和45)年1月31日第1版第1刷発行
1992(平成4)年2月29日第1版第12刷発行
初出:「九州日報」
1922(大正11)年11月16〜17日
入力:川山隆
校正:土屋隆
2007年7月21日作成
青空文庫作成ファイル:
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