叫んで立上りかけた。大|卓子《テーブル》の端に両手を突張って、穴の明くほど正木博士の顔を見た。正木博士も私の叫び声に驚いたらしく、吐きかけた煙を頬張ったまま、眼を丸くした。
私の呼吸と胸の動悸が、見る見る息苦しく高まって来た。
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……わかった。わかった……正木博士が、何気もなく云ったらしい一言が、事件の真相らしいものをチラリと私の頭に閃《ひら》めかしてくれた……。
……私という人間は、一件記録の上には出ていないけれども、やはり呉青秀の血を引いた、呉一郎と瓜二つの青年に違いないのだ。
……二人の博士は、千世子が一人しか子を生んでいないという屍体解剖の結果によって、そんな事実の存在を否認しているようだけれども、事によると、それは私をこの実験にかけるための一つのトリックに過ぎないかも知れない。真実の私の過去は、やはり呉一郎と双生児《ふたご》で、幼い時に何かの理由で別れ別れになっていたその片割《かたわれ》かも知れないのだ。
……それが人知れず故郷に帰って来て、人知れずモヨ子を恋していた。或《あるい》は呉一郎と瓜二つなのを利用して、真物《ほんもの》の呉一郎に覚られないように絡み合って、奇抜巧妙な二人一役を演じながら所在《ありか》を晦《くら》ましていたものかも知れない。そうしてその中《うち》に、呉家に絡《まつ》わる不思議な因縁話を聞き知って、呉一郎の結婚式の前日に、こんな残虐を試みた。……それがこの私であったのだ。
……けれども、そうした私自身も、呉青秀の心理遺伝を受け継いでいたために呉一郎と同時にか、又は相前後して、同じような発狂をしたために、真物《ほんもの》の呉一郎と入れ違ってしまったのだ。ドッチがドウなのか本人同志にも解らなくなってしまったのだ。
……正木、若林の両博士は、それを見別けようとしているのだ。被害者と加害者を鑑別しようとして苦心しているのだ。
……そうだ。そう考えれば疑問の根本が立派に解ける。そうだ。それに違いない。それに違いない。それ以外に一切の不思議の解決方法がないではないか。
……ああ。私はやはりこの事件の神秘の正体であったか。……ああこの私が……。
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一瞬間にコンナ事を考え廻らしつつ魘《おび》え、わなないている私の顔を、椅子の上に反《そ》り返った正木博士は依然として微笑を含みつつ眺めていた。そうして私の
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