敷に居られるか、それともまだロンドンに居られるかわからないので、この手紙を両地へ二通出します。
 船は購入して艤装してあります。いつでも出帆出来るように準備して、碇泊している。あれより気持のよいスクーナー船(註三〇)は貴下にも想像出来ないでしょう。――子供でも操縦が出来るかも知れない。――二百トンで、名はヒスパニオーラ号。
 この船は小生の旧友ブランドリーの周旋で手に入れたもので、彼は始めから終りまで実によくしてくれています。この感心な男は小生のために一心に働いてくれました。それからまた、ブリストルの人々も、我々の目指している港のことを――というのは宝のことだが――嗅ぎつけるや否や、だれも彼も非常によく働いてくれたと言ってもよいでしょう。」
「レッドルースさん、」と私は手紙を途中で止《や》めて言った。「リヴジー先生はこんなことは喜ばれますまいよ。あんなに言ってあったのに、大地主さんはやっぱりしゃべっておしまいになったんだね。」
「ううん、うちの旦那さまより偉《えれ》え人があるかな?」と猟場番人は唸るように言った。「大地主さんがリヴジー先生に遠慮してものが言えねえなんて、そんなべらぼうな
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