どなたがその地図を持っておられるかは存じません。しかし、それは私やアロー君にだって秘密にしておいて頂きたいと、私は主張します。でなければ私は辞職させて頂きたいと思います。」
「なるほど。」と医師が言った。「あなたは私たちに、その事を秘密にしておいて、それから、ここに私の友人の従者たちを置き、船内のすべての武器と火薬とを備えて、船尾の部分を守備所にして貰いたい、と言われるのですね。つまり、あなたは暴動を気遣っておられるのですね。」
「もしもし、」とスモレット船長が言った。「別に気を悪くするつもりではありませんが、言うべきことを私に教えられる権利はお持ちにならんはずです。もし船長にそんなことが言えるだけの根拠があれば、まったく航海などする理由はない訳でしょう。アロー君のことを言えば、あれはまったく正直な男だと私は信じています。船員たちの或る者もそうです。いや、みんな案外正直者かも知れません。しかし、私はこの船の安全とこの船に乗っている人一人残らずの生命について責任があります。どうも、私の考えるところでは、万事が十分よくいっていないようです。それであなた方に確実な予防手段を執って頂きたいとい
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