えて来たよ。――でもその時にゃもうあの人には死の網がかかってたのさ。」
「おい、おい、」とシルヴァーが言った。「その話はもうよせよ。奴さんは死んじまったんだし、幽霊になって出て来もしねえよ。少くも昼のうちは出て来はしめえ。そいつは聞違えっこなしだ。心配《しんぺえ》は身の毒さ。さあ、ダブルーン金貨を探しに前進だ。」
 私たちは出発するにはした。が、太陽がかんかん照ってぎらぎらする昼間《ひるま》であったにも拘らず、海賊どもはもう分れ分れになって森の中を走ったり喚いたりせずに、互に並んで歩き、息をひそめて話した。あの死んだ海賊の恐しさが皆の心にしみこんでいたのだ。

     第三十二章 宝探し――樹《こ》の間《ま》の声

 一つには今の騒ぎで気が滅入ったのと、また一つにはシルヴァーや病気の連中を休息させるために、一行の者全体は、高地の頂上に達するとすぐ、腰を下した。
 その高原は西の方へ幾らか傾斜していたので、私たちの休んだ場所からは、どちら側にも広い展望が見渡せた。前には、樹々の梢の上に、寄波《よせなみ》で縁取られている|森の岬《ケープ・オヴ・ザ・ウッズ》が見えた。背後には、碇泊所や骸骨《スケリトン》島が見下せたばかりではなく、東の方に――例の出洲《です》と東側の低地とをまったく越えて――渺茫たる外海までが見えた。私たちの真上には遠眼鏡《スパイグラース》山が聳え立って、一本松が点々と生えていたり、絶壁で黒くなっていたりした。聞える物音とては、島のぐるり中から響いて来る遠くの砕け波の音と、叢林の中で鳴く無数の虫の声だけであった。人影《ひとかげ》一つなく、海上には帆影《ほかげ》一つない。眺望の広大さまでがその寂蓼の感じを一|入《しお》増した。
 シルヴァーは、腰を下すと、彼の羅針儀で方位を取った。
「骸骨島から一直線のあたりには、『高い木』は三本ある。」と彼は言った。「『遠眼鏡の肩』ってのは、あそこの少し低くなった処《とこ》のことだろうと思うな。もう金《かね》をめっけるなあ造作のねえ事さ。先に腹を拵えてえような気もするな。」
「おいらは腹が空《す》いてやしねえ。」とモーガンが唸るように言った。「フリントのことを思ったんで空かねえんだろう――と思うんだ。」
「ああ、でも、お前、お前はあの男の死んでるのを有難えと思え。」とシルヴァーが言った。
「あの男は人相の悪い奴だったな。
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