。二人で羚羊《かもしか》のように逃げ出そう。」
「いいえ。」と私は答えた。「あなたは御自分ならそんなことをなさらないということはよく御存じです。あなただって、大地主さんだって、船長さんだってそうです。僕だってそんなことはしません。シルヴァーは僕を信用したんです。僕は誓言したんですから、戻って行きます。けれども、先生、まだ僕にはお話することが残っていたんですよ。もしあいつらが僕を拷問するとなると、僕はひょっとして一|言《こと》くらい口を滑らしてあの船がどこにあるかということを言うかも知れません。といいますのは、僕は船を取戻したんです。一つには運がよかったのと、一つには冒険をやったのとで。あれは、北浦の、南の浜の、高潮線のすぐ下のところにおいてあります。半潮の時にはきっと高く水を離れているでしょう。」
「船をね!」と先生がびっくりして言った。
私が大急ぎで自分の冒険のことを話すと、先生は無言のまま私の言うことをしまいまで聞いていた。
「どうもこれには宿命といったようなものがあるね。」と彼は私が話し終えると言った。「事毎に、私たちの命を救ってくれるのは君なのだ。それだのに、私たちが君に命をなくさせるようなことをすると君は思うかい? そんなことをしたら実にすまん訳だよ、君。君は奴らの陰謀を見つけた。君はベン・ガンを見つけた。――あれは君がこれまでにした中で一番よい行いで、また、君がこれから九十まで生きようとも、あれ以上によいことは出来ないだろう。おお、そうそう、ベン・ガンのことを言えばだね! あれぁ実にいたずら者だよ。おい、シルヴァー!」と先生は大きな声で叫んだ。「シルヴァー!――一|事《こと》お前に忠告するがね、」と彼は料理番が再び近づいて来ると言葉を続けた。「あの宝を探しにゆくのはあんまり急がん方がいいぜ。」
「そうですねえ、先生、わっしは出来るだけのことはしますが、どうもそりゃあむずかしいですね。」とシルヴァーが言った。「失礼ですが、わっしはあの宝を捜すことで自分の命とその子の命を繋いでるだけなんですから。それにゃあ違えありません。」
「じゃ、シルヴァー、」と医師は答えた。「もしそうなら、もう一歩進んで言っておこう。宝を見つけた時には用心をしろよ。」
「先生、」とシルヴァーが言った。「男と男の話としちゃ、そりゃあ何だか奥歯に物の挟まってるような言い方ですね。あんたが
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