に乗っている方《かた》が、静かに顔を外に出して見ながら、言った。
寝帽《ナイトキャップ》をかぶった一人の脊の高い男が馬の脚の間から包みのようなものを抱え上げ、それを飲用泉の台石の上に置いて、泥土《どろつち》のところへ坐って、その上に覆いかぶさりながら野獣のように咆えていた。
「御免下さりませ、侯爵さま!」と襤褸を著た柔順な一人の男が言った。「子供でござります。」
「どうしてあの男はあのような厭《いと》わしい声を立てているのじゃ? あの男の子供なのか?」
「失礼でござりますが、侯爵さま、――可哀そうに、――さようでござります。」
飲用泉は少し離れたところにあった。というのは、街路は、それのあるところでは、十ヤードか十二ヤード四方ほどの広さに拡がっていたからである。その脊の高い男が突然地面から起き上って、馬車をめがけて走って来た時、侯爵閣下は一瞬剣の※[#「木+覇、第4水準2−15−85]《つか》にはっと手をかけた。
「殺された!」とその男は、両腕をぐっと頭上に差し伸ばし、彼をじっと見つめながら、気違いじみた自暴自棄の様子で、言った。「死んじゃった!」
人々は周りに寄り集って、侯爵閣
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