の好奇心の眼は、しばらくの間は、彼に全くじっとしているように力をつけることが出来なかった。彼の右の手は前にある薬草をあわてて掻き分けて空想の中で庭園の花壇にした。そして息遣いを落著かせてしっかりさせようとする彼の努力のために脣はぶるぶる震え、その脣からは血の気がさっと心臓へ戻った。例の大きな蠅のぶんぶん唸る音がまた高まった。
「|マネット嬢《ミス・マネット》、あなたは以前に被告に逢ったことがありますか?」
「はい。」
「どこで?」
「ただ今お話に出ました定期船の中で。同じ折に。」
「あなたは今話に出た若い御婦人ですね?」
「はあ! ほんとに不仕合せなことに、さようなのでございます!」
彼女の同情から出たその悲しげな声音《こわね》は、裁判官が幾分荒々しく「あなたに尋ねられた質問に答えればよろしい。それについて意見がましいことを言ってはならぬ。」と言った時の、彼のあまり音楽的でない声の中に消されてしまった。
「|マネット嬢《ミス・マネット》、あなたはイギリス海峡を渡る時のその航海中に被告と何か話をしましたか?」
「はい。」
「それを思い出して御覧なさい。」
深い静けさの中で、彼女は弱い
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