れる)、諸君の好むと好まざるとにかかわらず、断然この被告を有罪と決し、彼を殺さなければならないのである。この被告の頭の刎ねられない限り、諸君は決して枕を高うして眠ることが出来ないであろう。諸君は諸君の妻が枕を高うして眠っているという考えをも忍ぶことが出来ないであろう。諸君は諸君の子供たちが枕を高うして眠っているという思いをも堪えることが出来ないであろう。要するに、諸君にとっても諸君の妻子にとっても、もはや枕を高うして眠るなどということは決してあり得ないのである、と。検事長閣下は、順々に彼の考え得られるあらゆるものの名にかけて、また彼が既に被告をもう死んでいるも同然と考えているという彼の厳粛な誓言に基いて、その被告の首を陪審官たちに請求することによって、論告を終えたのであった。
検事長の論告が終ると、法廷内ががやがやして来た。それはあたかも雲霞のような大きな青蠅の群《むれ》が、その囚人がまもなくどうなるかということを見越して、彼の身辺に群っているかのようであった。それがまた静まった時に、かの一点の非難すべきところもない愛国者が証人席に現れた。
次席検事閣下が、それから、彼の指導者の指
前へ
次へ
全341ページ中153ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐々木 直次郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング