の形体になって来た。その制作の間を通じて、それは私を完全に捉えていた。私は、これらの頁の中になされかつ感じられているところのことを、自分ですべて確かになしかつ感じたくらいにまで、それらを実感したのである★。
かの大革命の前ないしはその間におけるフランスの人民の状態についてここに何等かの言及(いかにわずかなものであろうとも)がなされている時にはいつでも、それは、真に、最も信頼するに足る証拠に基いてなされているのである。カーライル氏の驚歎すべき書物★の哲学に何かを附け加えるということは何人にも望むことが出来ないけれども、あの怖しい時代についての一般の絵画的な理解の手段に何ものかを附け加えたいというのは私の希望の一つであったのである。
ロンドン、タヴィストック館★にて、 一八五九年十一月。
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第一巻 甦《よみがえ》る
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第一章 時代
それはすべての時世の中で最もよい時世でもあれば、すべての時世の中で最も悪い時世でもあった。叡智の時代でもあれば、痴愚の時代でもあった。信仰の時期でもあれば、懐疑の時期でもあった。光明の時節でもあれば、暗
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