の小屋の方へ行った。その前三、四週間ほど私は彼を訪ねたことがなかった。――私の住居はそのころこの島から九マイル離れているチャールストンにあって、往復の便利は今日よりはずっとわるかった。小屋に着くと、いつも私の習慣にしているように扉《とびら》を叩《たた》いたが、なんの返事もないので、自分の知っている鍵《かぎ》の隠し場所を捜し、扉の錠をあけてなかへ入った。炉には気持のいい火があかあかと燃えていた。これは思いがけぬ珍しいものでもあり、また決してありがたからぬものでもなかった。私は外套《がいとう》を脱ぎすてると、ぱちぱち音をたてて燃えている丸太のそばへ肘掛椅子《ひじかけいす》をひきよせて、この家の主人たちの帰ってくるのを気長に待っていた。
 暗くなってから間もなく彼らは帰ってきて、心から私を歓迎してくれた。ジュピターは耳もとまで口をあけてにたにた笑いながら、晩餐《ばんさん》に水鶏を料理しようと忙しく立ち働いた。ルグランは例の熱中する発作――発作とでも言わなければほかになんと言おう? ――に罹《かか》っていた。彼は新しい種類の、世にまだ知られていない二枚貝を発見したのだが、そのうえまた、ジュピターの助けを借りて一匹の甲虫《かぶとむし》を追いつめて捕えたのだ。その甲虫を彼はまったく新しいものと信じていたが、それについてあす私の意見を聞きたいというのであった。
「で、なぜ今夜じゃいけないのかね?」と、私は火の上で両手をこすりながら尋ねた。甲虫なんぞはみんな悪魔に食われてしまえ、と心のなかで思いながら。
「ああ、君がここへ来ることがわかってさえいたらなあ!」とルグランが言った。「だがずいぶん長く会わなかったし、どうして今夜にかぎって訪ねてきてくれるってことがわかるもんかね? 僕は帰りみちで要塞のG――中尉《ちゅうい》に会って、まったくなんの考えもなしに、その虫を貸してやったんだ。だから君にはあすの朝まで見せるわけにはゆかんのだ。今晩はここで泊りたまえ。そしたら、日の出にジャップを取りにやらせるよ。そりゃあ実にすばらしいものだぜ!」
「何が? ――日の出がかい?」
「ばかな! 違うよ! ――その虫がさ。ぴかぴかした黄金色《こがねいろ》をしていて、――大きな胡桃《くるみ》の実ほどの大きさでね、――背中の一方の端近くに真っ黒な点が二つあり、もう一方のほうにはいくらか長いのが一つある、触角
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