ことができたのかということは、多くの人々にとって解きがたい難問であった。日曜日に二人が散歩しているのに出会った人たちの話によると、二人は口も利かず、ひどくつまらなさそうな顔付きをしていて、誰か知人の姿を見るといかにもほっとしたように声をかけるのが常だということであった。そのくせ、その二人はこの日曜の散歩をとても大事にして、毎週の一番の大切なものと考え、それを欠かさずに楽しむためには、いろんな遊びをとりやめたばかりではなく、しなければならぬ用事までもふり捨てたのであった。
 そんな散歩をしていたある時のこと、二人がなにげなくロンドンのにぎやかな区域の横町を通りかかったことがあった。その横町はせまくて、まあ閑静な方だったが、それでも日曜以外の日には商売が繁盛していた。そこに住んでいる商人たちはみんな景気がよさそうであった。そして、みんなは競ってその上にも景気をよくしようと思い、儲けのあまりを惜しげもなく使って店を飾り立てた。だから、店々は、まるでにこやかな女売子の行列のように、客を招くような様子で道の両側にたち並んでいた。日曜日には、いつもの華やかな美しさも蔽われ、人通りも少なかったが、そ
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