ったり閉じこめてあったが、自分の計画にしたがって、そのカーテンをゆっくりと静かにひきのけたとき、明るい光線が眠っている者の上へきっぱりと落ち、私の眼《め》は同時に彼の顔の上へ落ちた。私は眺《なが》めた。――と、たちまち、しびれるような、氷のように冷たい感じが体じゅうにしみわたった。胸はむかつき、膝《ひざ》はよろめき、全心は対象のない、しかし堪えがたい恐怖に襲われた。息をしようとして喘《あえ》ぎながら、私はランプを下げてもっとその顔の近くへよせてみた。これが――これが[#「これが」に傍点]ウィリアム・ウィルスンの顔なのであろうか? 私はそれが彼のだということをちゃんと知っていた。が、そうではないような気がして、瘧《おこり》の発作にでもかかったかのようにぶるぶる震えた。その顔のなにが自分をそんなぐあいにどぎまぎさせたのであろうか[#「あろうか」に傍点]? 私はじっと見つめた。――すると、さまざまな筋道の立たぬ考えが湧《わ》き上がって頭がぐらぐらとした。彼が目が覚めていて活溌《かっぱつ》でいるときは、彼はこんなふうには見えなかった、――たしかにこんなふうには[#「こんなふうには」に傍点]見え
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