とや、なおそのほかのことの書きぶり――彼の願いのなかに暖かにあらわれている真情[#「真情」に傍点]――が、私に少しのためらう余地をも与えなかった。そこで私は、いまもなおたいへん奇妙なものと思われるこの招きに、すぐと応じたのである。
 子供のころ二人はずいぶん仲のよい友達ではあったが、私は実のところ彼についてはほとんど知らなかった。彼の無口はいつも極端で、しかも習慣的であったのだ。だが私は、ごく古い家がらの彼の一家が、遠い昔から特別に鋭敏な感受性によって世に聞えていて、その感受性は長い時代を通じて多くの優秀な芸術にあらわれ、近年になっては、それが音楽理論の正統的なたやすく理解される美にたいするよりも、その錯綜《さくそう》した美にたいする熱情的な献身にあらわれているし、また一方では、幾度もくりかえされた莫大《ばくだい》な、しかし人目にたたぬ慈善行為にあらわれている、ということは知っていた。また、アッシャー一族の血統は非常に由緒《ゆいしょ》あるものではあるが、いつの時代にも決して永続する分家を出したことがない、いいかえれば全一族は直系の子孫だけであり、ごく些細《ささい》なごく一時的の変化はあ
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