フ的に言えば――ドラフツのゲームで、駒が盤面にキング四つだけとなった場合を想像してみよう。もうこうなれば、無論しくじりの起るはずはない。するとこの場合の勝負は(両方の競技者がまったく互角として)、知力を強く働かせた結果としての、|念入り《ルシェルシェ》な駒の動かし方だけで決ることは明らかである。普通の手がみな尽きてしまうと、分析家は相手の心のなかに自身を投げこみ、すっかり相手の心になりきって、相手を誘ってしくじらせたり、せきたてて誤算させたりする唯一の方法(ときには実にばかばかしいほど簡単な手なのだが)を、一目で発見することがよくある。
ホイストは、いわゆる計算力を養うものとして早くから知られていて、最高級の知力を持つ人々はチェスをつまらないものとけなして、ちょっと不思議なほどホイストに凝ったものだ。たしかに、この種のものではホイストほど分析能力を働かせるものはほかにない。キリスト教国中で一番のチェスの名人だといっても、つまりはただチェスの名人だというにすぎない。ところがホイストの上手《じょうず》ということになると、心と心とがたたかうすべての、もっと重大な事業にも成功できるということ
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