盾しているし、また、その書類をつまらないもののように、見る者をだまそうとする計画だなと思いつかせること。――それと、置場所だが、書類がどの訪問客にもまる見えのあまりに人眼につくところにあったこと。したがって僕が前に到達したあの結論ときちんと一致しているということ。こういったことはたしかに、疑うつもりで来た者には非常に嫌疑を濃くするものだったんだね。
僕はできるだけ訪問を長びかせて、きっと大臣の興味をひき、彼がやっきとなるにちがいない話題を持ち出して、彼とさかんに議論をつづけながら、少しも手紙から注意を放さなかった。そうして調べているあいだに、その外観や、名刺差しのなかの入れぐあいなどを僕は暗記した。そしてとうとう一つの発見をしたが、それは僕がいだきそうなどんな小さな疑いでも消してしまうものだった。手紙の縁をよく見ていると、それが必要以上にこすれて[#「こすれて」に傍点]いることがわかったのだ。それは、堅い紙がいったん折り曲げられて紙折り箆《へら》で押えられ、そのもと折られた同じ折目のところから反対に折り返されたときにできる折れぐあい[#「ぐあい」に傍点]なんだよ。これを発見すれば十分
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