カンパネラ(9)のものとされている、あの、あらゆる贋《にせ》の深遠さよりも深いものだよ」
「で、その推理者の知力を相手の知力と合致させることはだね」と私は言った。「もし君の言うことを僕が誤解していないなら、相手の知力をはかる正確さのいかんによるね」
「実際上の価値としては、そういうことになるね」とデュパンは答えた。「で、総監やその部下たちが、あんなにちょいちょい失敗するのは、第一に、その合致が欠けているためで、第二には、相手の知力のはかり方が悪いため、というよりも、むしろはからないためなんだ。彼らはただ自分たち自身[#「自身」に傍点]の工夫力だけしか考えない。そしてなんでも隠されたものを捜すのに、自分たち[#「自分たち」に傍点]の隠しそうな方法だけしか気がつかない。彼ら自身の工夫力が普通一般人[#「普通一般人」に傍点]の工夫力の忠実な代表であるという点までは――これは正しい。が、特殊の悪人の狡知《こうち》と、彼ら自身の知恵の質が異なっている場合には、もちろん彼らはしくじってしまう。これは相手の狡知が彼らより以上のときにはいつもそうだし、その以下の場合にもたいていそうなんだ。彼らは調査を
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