いる。だから、G――がD――邸の家宅捜索をした方法を我々に詳しく話してくれたとき、僕は、彼の労力の及ぶところまでは――彼が申し分のない調査をしたということを、完全に信じたんだ」
「彼の労力の及ぶところまではだって?」と私は言った。
「そうさ」とデュパンが言った。「執られた手段は、その種の最上のものであったばかりではなく、完全無欠なところまで実行されたのさ。手紙が彼らの捜索範囲内に置いてあったなら、あの連中はきっと見つけたろう」
 私はただ笑った、――が彼はまったく真面目で言っているようであった。
「そんなわけで」と彼はつづけて言った。「手段はその種のものでは上等だったし、りっぱに実行もされた。ただ欠点というのは、その事件とそれから相手とに当てはまっていないということだったんだよ。総監は非常に巧妙な方法というのはプロクルステス(5)の寝台のようなものだと思って、自分の計画を無理にそれに適合させようとするんだね。彼はいつも、自分の手にしている事件に対してあまり深謀すぎたり浅慮すぎたりしてしくじるのだ。小学校の子供だって彼よりももっとうまく推理するのがたくさんいる。僕は八歳ばかりの子供を知っ
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