針から二フィート以内のところまでとどく、ということは明らかだった。また、ごく並外れた勇気と活動力とがあれば、避雷針からこうして窓の内へ入ることができたかもしれない、ということも明らかだった。――二フィート半も手をのばせば(いまその鎧戸がすっかり開いていると想像して)、強盗は格子細工のところをしっかり掴むことができたろう。それから、避雷針をはなし、足をしっかり壁にかけて踏んばり、思いきってそれを蹴《け》ると、鎧戸はあおりをくってばっとしまるだろう。そして、そのとき窓があいていたと想像すれば、部屋のなかへまで跳びこむことができるのだ。
 こういうきわどい、こういうむずかしい離れわざをうまくやってのけるには、ごく[#「ごく」に傍点]並外れた活動力が要る、と僕が言ったのを特に覚えていてもらいたい。第一には、そんなこともやれたかもしれんということを君に示すのが僕の意図だ。――が、第二には、そしてこのほうが主なんだが[#「主なんだが」に傍点]、そんなことをやる敏捷さはごく異常な[#「敏捷さはごく異常な」に傍点]――ほとんど超自然的な性質のものだということを君によくわかってもらいたいのだ。
 君はき
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